フォルクスワーゲン・タイプ1 |クラシックカーの魅力

フォルクスワーゲン・タイプ1 |クラシックカーの魅力

フォルクスワーゲン・タイプ1|クラシックカーの魅力ということで今回は自動車の歴史を語る上でも外せないフォルクスワーゲン初の大衆車としてビートルの呼び名でひたしまれた『タイプ1』について書いていこうと思います。

フォルクスワーゲン・タイプ1 ってどんな車?

フォルクスワーゲン・タイプ1はドイツの国民車を作るという計画をヒトラーが打ち出したことから開発が始まり、自動車設計者でありのちにポルシェを創業するフェルディナント・ポルシェに国民車の設計を依頼した。

1938年から2003年まで半世紀にわたって生産が続き、世界中で売れ四輪自動車としては世界最多の2152万台もの生産をした車であることは非常に驚く。

しかも、半世紀にわたって基本構造を変えることなく生産されていた車は他にはなく、それまで車といえばお金持ちしか持てない高級品だったのをタイプ1のような大衆車をつくることで一般大衆に広く車が行き渡るキッカケになった1台といっても過言ではないと思う。

ポルシェとの意外な関係

ポルシェ・356 スピードスター

先述したようにフォルクスワーゲン・タイプ1の設計は自動車設計者であったフェルディナント・ポルシェによって作られた。

またヒトラーが、ポルシェに課したノルマが非常に当時の自動車業界のレベルを考えると非常に高いものに設定されており、そのノルマは以下のとうりである。

・頑丈で長期間大きな修繕を必要とせず、維持費が低廉であること。

・標準的な家族である大人2人と子供3人が乗車可能なこと。

・連続巡航速度100km/h以上

・7Lで100キロの走行が可能であること。

・空冷エンジンの採用

・流線型ボディの採用

上記のことを考えるとまず、7Lで100キロの走行が可能というのは普通に計算してみても燃費が14km/L以上なのでほぼ最近まで売られているハイブリッド車両以外と同じというのを1930年前後の時代に求めるというのはかなり至難のわざであると思う。てか、不可能w

しかも、上記のことを満たしつつ1000マルク以下で買える自動車というのが条件だったらしい。

1000マルクが正直いくらなのかはわからないがきっとその当時の一般庶民の人でも購入できるような価格帯であったに違いない。

そんな苦労もあって開発はかなり難航し、上記の条件を全て満たしたかは定かではないが、1938年に無事生産を開始することができた。

そしてフェルディナント・ポルシェはタイプ1が爆発的に売れたことによって得た報酬でポルシェを設立したとも言われている。

そしてフェルディナント・ポルシェの念願であったスポーツカーの製造をするのにフォルクスワーゲン・タイプ1のボディーとエンジンを流用して作られたのが写真にあるポルシェ・356なのである。

ちなみにポルシェ・356のクラシックカーとしての値段は高騰しておりレプリカはわからないが本物は今では1500万円出しても買えるかわからないほどである。

ポルシェの新車よりも高いことを考えると車というよりはもはや骨董品のような扱いである。

流石に1500万以上のクラシックカーを購入するのはよほどの余裕がないと出来ないが、そんなポルシェ356にボディーとエンジンが流用されているフォルクスワーゲン ・タイプ1を手に入れることでポルシェ・356の1部を感じることができる車だというのもフォルクスワーゲン・タイプ1の魅力だと私は思う。

フォルクスワーゲン・タイプ1

またエンジンは非常に頑丈に造られており、初期の1リッターからモデル末期の1.6リッターまでほとんど構造を変えることなく改良を、していくことが出来たことからも基本設計の良さがうかがえる。

エンジンレイアウトは、水平対向4気筒空冷式エンジンを採用しており、『バタバタ』や『バサバサ』などの音がして少しうるさいが、そのかわり耐久性は抜群とされており、あらゆる気候に耐えられるようになっている。

ちなみに空冷エンジンとは走行中や冷却ファンによって走行中の空気でエンジンを冷やす方式で、今の時代のエンジンは水冷式といってエンジンの中に水路を通すことによって水を利用してエンジンを冷やしている。

なので正直空冷エンジンは夏場の、暑い時に渋滞しているとエンジンを冷やすのが困難になってしまうのでそういう時の使用は躊躇してしまう気がする。

タイプ1のエンジンの耐久性の代償として、エンジンの出力が低くなっている。これはヒトラーの厳しい要望をポルシェが、クリアするために意図的にそう設計してあるとされている。

また設計者のフェルディナント・ポルシェは整備性にも重点を置いており、タイプ1のエンジンルームはコンパクトで狭いにも関わらず、充分なスペースが設けられている、

実際に僕も未熟ながらフォルクスワーゲン・タイプ1のエンジンを触らせてもらえる機会があったのだが確かに見た目のコンパクトさよりは明らかに整備がしやすかった印象を受けた。

以下がエンジンサウンドである。

そしてエンジンルームは車の後方にあり、リアエンジンリア駆動のRR方式を採用しているのが何ともポルシェが設計したんだなというのを感じさせてくれる。

ポルシェの、伝統的なスポーツカーであるポルシェ・911はリアエンジンリア駆動のRRであり、このタイプ1の設計の時からその歴史が始まったのかなと思ってしまう。

フェルディナント・ポルシェがエンジンレイアウトをRRにしたのは余計な部品点数を増やしたくないためだとも言われている。

また1970年頃フォルクスワーゲン・タイプ1の『エンジン脱着競争』も盛んに行われ、車から離れたところからスタートした2人組が車両についているエンジンを外して台車に乗せ、スタート地点まで戻り、再び車へ駆け寄りエンジンを装着し、エンジンを始動させて車をスタート地点までバックさせてゴールするという競争平均タイムが20分程度だったことからも、整備性の高さがうかがえる。

普通にエンジン脱着して再び搭載するだけで20分で済む車両なんてないと思うので凄い整備性だなと感じた。

フォルクスワーゲン・タイプ1 |クラシックカーの魅力

2003年まで半世紀にわたって生産が続いたため、その頃の他社メーカーは水冷エンジンをほとんどの車で採用していたが、フォルクスワーゲン・タイプ1は空冷エンジンのままだった。

水冷エンジンにすることなく売れ続けたのには理由があり、その理由はフォルクスワーゲンが大きく発展したことによってポルシェやアウディを傘下に収めていたことに関係がある。

当時ポルシェにいたフェルディナント・ポルシェの孫であるフェルディナント・ピエヒはフォルクスワーゲンがポルシェのレースの費用を8割も負担するかわりに水冷エンジンよりも効率の悪い空冷エンジンを使うことを約束した。

そのためポルシェが空冷エンジンでレースに勝利するたびに空冷エンジンの性能の高さを証明する一種のカモフラージュ的な感じになり、フォルクスワーゲン・タイプ1で空冷エンジンを搭載したまま販売することが出来たのである。詳しくはフォルクスワーゲン最強説の記事も参考に。

まとめ

以上のことを踏まえてフォルクスワーゲン・タイプ1、通称ビートルは自動車の歴史と非常に関わっていてなおかつクラシックカーの中でも値段が上がりすぎているわけではないので割とお求め易い車なのかなと思う。

またポルシェとの繋がりや背景を知るとより、タイプ1への関心や愛着が湧いてくると思うので、これから購入を検討している人やオーナーの人がこの記事を通してフォルクスワーゲン・タイプ1を知ってもらえるきっかけになれば嬉しいなと思います。

僕自身も助手席ではありましたが乗らして頂いた時に半世紀も前に設計された車なのに非常にちゃんと走るなと感じたとともに、フェルディナント・ポルシェの設計力の高さに驚かされました。